『5G時代の新戦略を先取りして、ブルーオーシャンを発見するしかないっ!』
『オタクカルチャーは聞いてたけど、日本のプロレスまでアメリカで話題になってるらしいよ?』
『もうこうなったらアメリカにも秋葉原を作ろう!そうしよう!』
アメリカに来て10年。日本のアニメが人気であると言うニュースは沢山聞いてきました。
オタクの私としては嬉しくもあり、誇らしくありました。
特別アメリカのオタクイベントに参加していなくとも、シカゴのラーメン屋で働いている私のお店には、ゴリゴリのアニメTシャツを着た若者や、アニメの缶バッチがジャラジャラついているバッグを持ったタトゥーバリバリの女の子や、コスプレのままゾロゾロとお店に来るお客さん達も沢山います。
シカゴに秋葉原を作りたいと決めた私はいつも疑問に思っていました。
『秋葉原みたいなわかりやすい場所がないのにオタクの人達はアメリカのどこに集まっているのだろう?』と、そんな疑問に大きなヒントを与えてくれる
今回は中山淳雄(なかやま・あつお)さん著
【オタク経済研創世期】についてお話したいと思います。
【オタク経済圏創世記-GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件】とは?
日本のオタク文化商品は、いかにして世界的なブルーオーシャンとなり、成長を続けているのか。
amazon紹介ページ オタク経済圏創世記-GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件(著 中山淳雄)
「オタク経済圏」のキープレイヤーの戦略を解き明かし、5G時代のビジネスのヒントを提示する一冊。
著者 中山淳雄(なかやま・あつお)
ブシロード執行役員
早稲田大学ビジネススクール非常勤講師
シンガポール南洋工科大学非常勤講師
ブシロードと聞いて直ぐに思い出したのがやはりカードゲーム
本書の中でも記述がありますが中山さんは海外展開もメインで活動しており、苦労話が共感しかなかったです。
中山さんほどの優秀な方でも、やはり海外で他国の人と仕事をするのは大変なのかと驚きました(笑)
普段あまり本を読まない私なので、時々出てくる難解なビジネス用語に四苦八苦はしましたが、オタクと言う言葉がいつ生まれたのか?からどうして日本のアニメが世界で評価されたのか?など、順序良く丁寧に書いてあるため非常に楽しく勉強する事が出来ました。
読んで感じた事
大人向けアニメと言う大発明
そもそもなぜ大人向けアニメをいうジャンルが生まれたのだろうか。 これはマンガにも共通するが『子供向け教育モノ』として表現規制をし続けた米国と、アングラ文化として自由に発展させてきた日本の違いと思われる。
オタク経済圏創世記-GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件(著 中山淳雄) 61ページ
アメリカのコミック屋さんに行っていつも感じていた事は
『なーんでアメリカのコミックってヒーローが悪を倒す分かりやすいモノしかないんだろう?』
でした。
別に悪い事では全然ないですが、私的には物凄い幼児向け過ぎて何か物足りない感じしかありませんでした。今ではバットマンもスパイダーマンも映画でどんどん深みがましていますし、昔より規制も変わってきているのかなと感じます。
確かに日本の漫画はヤクザモノからギャンブル、色恋からいびつな人間関係モノなど沢山ありますもんねw
著者の中山さんは日本のマンガの事をこうも言っています。
表現の規制から解放されつつ、アングラ文化として人々の社会的不満を代弁したり解消するメディア
オタク経済圏創世記-GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件(著 中山淳雄) 63ページ
これは確かに納得ですw
私も小さい頃からマンガに影響され不満やらストレスを解消していたと今では理解できます。
自分に自信がなかった私はダイの大冒険のポップを見て感動し『自分もいくじなしだけどポップみたいにカッコよくなりたい』とか
たった一つだけ長所をもった選手達が頑張るスポーツモノ『アイシールド21』『リベロの武田』なんかには弱かったですねぇ(笑)
アメリカと日本の組織形態に凄く悩んできた
本書は基本的にアニメ、マンガ、ゲームなどのオタクカルチャーの事が書かれているのですが、一つの章で『日本とアメリカで全く違う組織構造』の話が書かれています。
現代美術家である村上隆さんがニューヨークで感じていた
欧米の美術の世界という恐竜の内部から枠組みを食い破るように表現をするなら『日本の文化』で勝負するしかない。
オタク経済圏創世記-GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件(著 中山淳雄) 336ページ
と言う考え方から始まりますが、『まさしく、その通りで御座いますっ!』と叫んでしまうほど共感してしまいました。
だからこそ私も秋葉原を作りたいのですが…秋葉原は日本の文化なのかな?
オタクが作った文化の町って事にすればいいかな?
この章では日本の組織構造とアメリカの組織構造の違いを丁寧に分かりやすく説明してくれています。海外で働いていて『日本の普通が全然通じないつ!』と発狂しているラーメン屋の店長さんは本書を是非とも読んで頂きたいです。
コミュニティーが大事になってくる
本書の中で強く感じた内容は『作品の良さを手を変え品を変え提供しつづける』また、『その良さを同志で語り合える場も提供する事』だと感じました。
SNSなどで日々【流行すること】はどこでも沢山起きている。その中でその流行をどう維持するのかが問題であるとありました。
…確かに。日々SNSではバズってる事なんて本当に沢山あって追えないですもんねw
また本書では流行が飽和している現代の中で【いつも変わらない場所で、誰もが変わらず好きなモノに人は集まる】と言う事が書かれており、私はこれは【秋葉原の様なオタクのあつまる場所】なのではと感じました。
オタクってのは忙しいと思うんですw
好きなアニメやマンガ、推しやゲームつやその他の事まで、日々津波の様な情報に溺れながらも好きだと言う気持ちを満喫している。
でも疲れる時もあるんですよねw
そんな時に何も考えずにふと周りを見渡せば自分と同じ様なオタクがいる。
そんな場所・空間が必要なんじゃないかと常に思っています。
やはりアメリカにも秋葉原が必要だ…と私は勝手に思ってますw
まとめ
本書を一冊読むだけでオタク文化やオタクカルチャーの歴史、アメリカでの展開、海外での働き方、これからのオタクカルチャーがどの様に展開されていくか?が分かります。
海外で働いている方、オタクビジネスを考えている方は勿論非常に勉強になる一冊です。
私個人の考えとしては『やっぱり日本の武器はオタクカルチャーである』と再度自信を持てた本でした。
その一方でアメリカ人がアニメカフェをオープンして失敗したり、メイドカフェをオープンして失敗したり、アニメグッズを現地で売っている会社の従業員が『売れ行きはあまりよくない』などの話をしていたりしてオタクビジネスの難しさを痛感しております。
オタクカルチャーは確実に時間が経てば、今以上に世界に浸透する。
ではアメリカに秋葉原の様なオタクの集まる場所を作りたい自分はどの様に立ち回り、何が出来るのか?どの様に現地のオタクと関わっていけばもっとオタクカルチャーは盛り上がるのか?
そんな事を考える根幹の部分になった一冊でした。
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